先輩看護師の声 回復期リハビリテーション病棟看護師

voice!
S.Yさん
2024年入職
「できる」が増える
その瞬間に立ち会える看護

地元で育ち、看護師の道へ

私は岐阜県可児市で生まれ育ち、今もこの町で暮らしています。高校は隣の美濃加茂市に通い、卒業後は看護師を目指して当院付属の看護学校へ。3年間の学びを経て国家試験に合格し、2006年4月に新人看護師として当院(旧・木沢記念病院)に入職しました。

学生時代の看護実習から当院にはお世話になっており、病棟やスタッフの雰囲気、先輩がたの患者さんへの向き合い方に触れる中で、「ここで働きたい」と自然に思うようになったのを覚えています。当時の当院は、地域でも規模の大きい総合病院だったため、さまざまな診療科で幅広い経験を積むことができる環境でした。中でも印象に残っているのが脳神経外科での実習です。きめ細かな指導やスタッフの親しみやすさに惹かれ、次第に「この分野で専門性を深めたい」という思いが強くなっていきました。

また、当時は毎月3万円の奨学金を受け取り、3年間勤務すれば返済が免除される“お礼奉公”の制度もありました。通いやすさや、学生時代から慣れ親しんだ環境も後押しとなり、迷うことなく当院への入職を決めました。

急性期病棟での16年間

入職後は希望通り脳神経外科に配属され、その後は異動を経て、整形外科など計3つの病棟を経験しました。いずれも急性期病棟で、手術や急変対応が多く、常に業務を優先せざるを得ない状況が続いていました。短期間で多くの症例に触れられる点では非常に貴重な経験となりましたが、一方で、患者さん一人ひとりとじっくり向き合う時間はどうしても限られていました。

加えて、当時は子育てとの両立という課題にも直面していました。夫は名古屋まで通勤しており、帰宅は遅め。母はすでに他界し、義両親の協力はあったものの、日中はほぼ一人で育児を担っていました。時短勤務やパート勤務に切り替えても、家庭と仕事のバランスを取るのは決して簡単ではなく、「思うような看護ができていない」というもどかしさも感じていました。

そうした日々が続く中で、心身の負担は少しずつ積み重なり、入職から約16年になったタイミングで退職を決意しました。

視点を変えて見えたもの

退職後は半年ほど休職し、家庭中心の生活を送りました。しかし「看護師として働き続けたい」という気持ちは変わらず、御嵩町にある病院のデイケアへ就職することに。そこでは、利用者さんが通所によるリハビリを受けながら、日常生活を送っていました。

私はそれまで急性期病棟で勤務していたため、患者さんが退院後どのように回復し、在宅生活へ移行していくのかを直接見る機会はほとんどありませんでした。治療を終えて送り出した後の様子を知ることはなく、「その後」を想像するしかなかったのです。

デイケアでの勤務は、そうした患者さんたちの「退院後の生活」や「第二の人生」に触れる貴重な経験になると同時に、自分にはリハビリに関する知識や技術が十分ではないことにも気づかされました。たとえば歩行訓練ひとつを取っても、理学療法士が行うリハビリの背後には、緻密な計画と専門的な知見があることを知り、次第に基礎から学んでみたいという思いが強くなりました。

こうした経験を重ねる中で、「回復期のリハビリを学び、患者さんの生活復帰を支えたい」という明確な目標が生まれました。ちょうどその頃、当院が「中部脳リハビリテーション病院」として確立されていたこともあり、迷うことなく再就職を決意しました。

ブランクを経ての再スタート

3〜4年のブランクを経ての再スタートには、不安も大きくありました。しかし実際に働き始めてみると、病棟にはすぐに相談できる環境が整っており、「まずは慣れることから始めましょう」と温かく迎えていただきました。スタッフ同士の距離も近く、自然と声をかけ合える関係が築かれており、困ったときには必ず誰かが手を差し伸べてくれます。周囲のサポートのおかげで、少しずつ感覚を取り戻し、自信を持って業務に取り組めるようになりました。

さらに、当院の大きな魅力は「働きやすさ」にもあります。子育てや家庭への理解が深く、同じように子育て中のスタッフも多く在籍しているため、助け合いの風土が自然と根づいています。子どもの体調不良や学校行事などで急な休みが必要になったときも、「お互い様だから」と声をかけてもらえるのは、本当にありがたいことです。師長や先輩方も勤務の調整に柔軟に対応してくださり、言いにくいことにも気づいて声をかけてくれるなど、細やかな配慮に何度も救われました。

残業もほとんどなく、定時で帰れる日が増えたことで、家庭との両立もしやすくなりました。何より、帰宅後に「今日も患者さんが元気になっていたな」と振り返る時間が持てるようになり、気持ちにもゆとりが生まれています。

今だからできる、自分らしい看護

急性期やデイケアなど、さまざまな現場を経験してきたからこそ、今が最も自分らしい看護ができていると実感しています。

「少し起き上がれるようになった」「立っていられる時間が長くなった」──そうした一つひとつの進歩が、やがて歩行や日常生活動作(ADL)の向上につながっていきます。その過程を患者さんやご家族と一緒に迎えられることは、回復期ならではのやりがいだと感じます。目に見えて回復していく姿に寄り添い、喜びを分かち合える時間は、看護師としての成長を感じられる大切な瞬間でもあります。

また、当院では医師やリハビリスタッフ、ソーシャルワーカーなど、多職種との連携が密に行われており、3〜4か月という入院期間を通じて、病棟全体が一つのチームとなって患者さんを支えています。仲間と協力しながらケアにあたれることも、大きな魅力の一つです。

知る人ぞ知る“穴場”の職場

回復期リハビリテーション病棟というと、「専門的でハードルが高い」と感じる方もいるかもしれません。でも実際に働いてみると、ここは驚くほどあたたかく、そして働きやすい“穴場”のような職場だと感じています。私自身、たくさんの現場を経験し、20年近く看護師として働いてきましたが、今がいちばん楽しく、自分らしく働けていると胸を張って言えます。

ブランクがある方、家庭との両立を考えている方、急性期のスピード感に疲れてしまった方。そんな方にこそ、この病棟の魅力を知ってほしいです。当院には、チーム全体で支え合う風土が根づいており、経験やスキルに不安がある場合でも、一人で抱え込む必要はありません。個々のペースや状況に応じて、無理なく成長できる環境が整っています。

そして何より患者さんの「できること」が一歩ずつ増えていく姿を、すぐそばで支え、見届けられること──それが、回復期看護ならではの喜びであり、大きなやりがいです。

「患者さんとじっくり関わる看護がしたい」「生活に戻る過程を支えたい」そんな思いをお持ちの方にとって、当院の回復期リハビリテーション病棟はきっとぴったりの場所です。これまでの経験を活かしながら、ここで新しい看護のかたちに挑戦してみませんか?