看護部について 看護部長あいさつ

看護部長 森 洋子

患者さんと、ゆっくり向き合える看護

当院は、「脳神経分野に特化した領域における専門性の高い持続可能な診療」「国際的に認められる学術的な活動」を理念としています。入院している患者さんは、一般的な脳卒中後遺症や自動車事故による脳損傷に起因する遷延性意識障害など、急性期における治療を終えた慢性期の方々です。また、外来にはてんかん、認知症、けいれん、頭痛などの患者さんが通院しています。

当院に入院される方は、運動機能だけでなく、意識障害や、高次脳機能障害を抱えており、看護職にはそのような障害のメカニズムを理解した上で、患者さんの残存能力と可能性を重視した関りが求められます。看護職には、患者さんとじっくりと向き合い、わずかな変化に対する喜びを分かち合いながら、支援していく姿勢が必要です。そうした支援は家族も対象となります。看護職はご家族も巻き込みながら、患者さんだけでなくご家族にとっても無理なく在宅療養に移行できるようにするための関わりをしていく必要があります。患者さんの機能回復の可能性を信じ、患者さんに寄り添いながらケアを提供できる看護職を育成したいと思っています。

NICDを学び、回復を支える看護師へ

当院の看護部は、外来、回復期リハビリテーション病棟(2022年8月にオープン)、中部療護センターの3つの部署で成り立っています。回復期リハビリテーション病棟は脳リハビリテーションにおける看護の確立の途上にある病棟で、20年以上前から脳神経系に特化した看護を提供している中部療護センターと共に、看護の質の向上を目指しています。

卒後3年間の教育、中堅以降のスーパーバイザーナース研修は中部国際医療センターで受講しますが、現任教育は当院で独自に行っています。看護部教育委員会を立ち上げたばかりですが、脳神経系領域に関する知識、中部療護センターで行われている生活行動回復看護(NICD)、退院支援を教育の軸として看護職へ浸透させようとしています。

とりわけNICDは、当院での看護のスタンダードにしていきたいと考えています。リハビリテーションが可能な身体作りから始まり、様々な感覚を刺激し、全身の緊張を和らげていくことで、看護の力で患者の機能を回復させていきます。長期間の関わりから看護の力を実感すると共に、看護職自身のモチベーションにも繋がっていくことと思います。クリニカルラダー、マネジメントラダーも中部国際医療センターと同じシステムとなっており、急性期から慢性期まで看護職個々のやりたい看護の希望にも応えることが出来ます。

支え合える仲間と、ずっと働き続けられる職場へ

看護部は、看護職が患者さん、ご家族との信頼関係を築くために、看護職間の連携によって確かなケアを提供してもらいたいと考えています。個々の看護職の力が小さく未熟であっても、看護職であるからこそのチーム力で素晴らしい看護を提供することが出来ます。“脳神経系”ということでハードルを感じるかも知れませんが、チームのサポートを受けながら患者さん、ご家族と関わっていくことで少しずつ看護職としての自身の成長を図ってもらえればと思います。

当院は慢性期の病院であり、時間をかけてじっくりと患者と向き合いながら看護を提供していくことが可能です。医師やリハビリテーションスタッフなどの多職種とも連携しやすい環境で、自身の看護を高めて行くことが出来ます。勤務内で、学習や研究などの支援も行っています。

ライフワークバランスという点では当院は超過勤務が少なく、子育て中の方や、自分の時間を充実させたい方が働きやすい環境の職場です。病棟には子育て中の看護職が多く働いており、急な休みにも対応しています。そういう点においてもチーム力を発揮し、お互いを支え合いながらキャリアを積んでいく雰囲気ができています。看護職が、看護を提供し続けて行くための支援をしていきたいと考えています。